導関数を求めるための和の法則

和の法則加法の法則とも呼ばれます)は、二つ以上の関数の和の導関数を求めるための基本的な原則です。この法則は、そのような関数を微分するプロセスを簡略化し、最適化問題、物理学、工学など、微積分のさまざまな応用で広く使用されています。

和の法則の公式と正式な定義

和の法則の微分公式は次のとおりです:

ddx(f(x)+g(x))=ddxf(x)+ddxg(x)

定義: 微分可能な関数 f(x)g(x) に対して、これらの関数の和の導関数は次のように与えられます:

ddx(f(x)+g(x))=ddxf(x)+ddxg(x)

ここで、ddxf(x)f(x) の導関数であり、ddxg(x)g(x) の導関数です。

和の法則は、任意の有限個の微分可能な関数の和にも拡張できます:

ddx(f1(x)+f2(x)++fn(x))=ddxf1(x)+ddxf2(x)++ddxfn(x)

和の法則を適用する手順

  1. 関数を特定する: 与えられた和の中の個々の関数 f(x)g(x)、またはその他の関数を特定します。
  2. 各関数の導関数を求める: それぞれの関数を適切な微分法則を用いて微分します。
  3. 導関数を加える: ステップ2で得られた個々の関数の導関数を加えます。
  4. 結果を簡単にする: 必要に応じて、ステップ3で得られた最終的な式を簡略化します。

例:和の法則の適用

関数 h(x)=x3+sin(x) を考えてみましょう。

  1. 和の中の関数は f(x)=x3g(x)=sin(x) です。

  2. x3 の導関数は 3x2(べき乗法則を使用)、sin(x) の導関数は cos(x) です。

  3. 導関数を加えると:

    h(x)=ddx(x3+sin(x))=ddxx3+ddxsin(x)=3x2+cos(x)
  4. 結果はすでに簡略化されているので:

    h(x)=3x2+cos(x)

したがって、h(x)=x3+sin(x) の導関数は h(x)=3x2+cos(x) です。

和の法則の証明

微分に関する和の法則を証明するために、導関数の定義(すなわち、微分の第一原理)と極限の性質を使用します。h(x)=f(x)+g(x) とし、f(x)g(x) は微分可能な関数とします。

証明:

h(x)=ddx(f(x)+g(x))[4ex]=limh0(f(x+h)+g(x+h))(f(x)+g(x))h[4ex]=limh0[f(x+h)f(x)h+g(x+h)g(x)h][4ex]=limh0f(x+h)f(x)h+limh0g(x+h)g(x)h[4ex]=f(x)+g(x)

したがって、ddx(f(x)+g(x))=ddxf(x)+ddxg(x) が証明されました。

証明ステップの詳細な説明

  1. h(x) の定義から始めます: h(x)f(x)g(x) の和として定義されます:

    h(x)=f(x)+g(x)
  2. 導関数の定義: h(x)x に関する導関数は次のように与えられます:

    h(x)=ddx(f(x)+g(x))
  3. 導関数の極限定義を適用する: 極限定義を使用して、導関数は次のように書けます:

    h(x)=limh0(f(x+h)+g(x+h))(f(x)+g(x))h
  4. 分子内の項を分配する: 極限内の式を書き換えて項を分配します:

    h(x)=limh0(f(x+h)+g(x+h))f(x)g(x)h
  5. 分数を分ける: 分数を二つの別々の分数に分けます:

    h(x)=limh0[f(x+h)f(x)h+g(x+h)g(x)h]
  6. 和の極限の性質を使用する: 和の極限の性質を適用して:

    h(x)=limh0f(x+h)f(x)h+limh0g(x+h)g(x)h
  7. 個々の導関数を認識する: 極限内の各項は、それぞれの関数の導関数を表しています:

    h(x)=f(x)+g(x)

したがって、次のことが証明されました:

ddx(f(x)+g(x))=ddxf(x)+ddxg(x)